2011年 07月 01日
採光斜線 |
今、確認申請の書類を作成中。
なじみの工務店さんから「バイトで確認申請の書類づくりを手伝ってくれない?」と声をかけられたので、申請図をつくりながら、建物の法規チェックをはじめた。すると工務店の担当者の方はどうやら「窓の採光有効係数」の導き方に根本的な誤解をしているらしいことがわかったので、説明がてら、旧法(平成12年以前のルール)と今のルールがどういう関係にあるかをわかりやすくするための絵を描いてみた。
以前のルールはとても簡単だった。有効を判断をしたい窓の場所で建物の断面図を書いて、軒先など障害物にぶつかるある決まった角度(4/10)の斜線を書く。その線が敷地境界線にぶつかったらそこで斜線を水平に折り返して、それより上の窓は採光上有効。下の部分は無効という考え方だったわけ(写真左図)。
それが平成12年の建築基準法改正で、「採光補正係数」という数値を導く新しい算定式(係数=D/H×6-1.4)が登場し、実際の窓の面積に係数をかけて有効面積をだすように変わった。これによって、窓は本来の大きさの0%~300%までの比率で窓の有効度を段階的に算定できるようになったということになる。新しい数式が今までの斜線とちがって直感的にわかりづらくなったため、多くの人が誤解してしまっているようなのだけれど、係数に以前の採光斜線の傾き(4/10)を代入すると、4/10×6-1.4=1となり、実は係数が1となる標準的な窓の考え方は、以前と変わっていない。でもこのあたりの経緯を知らず、いきなり数式を覚えた若い人にとっては、以前こんな斜線があったことさえ、きっともう知らない世界の話になってしまっているのだろう。
ところで、旧法に慣れ親しんでいた古い人間にとっては、この「窓の明るさが3倍まで認められる」という考え方自体が、都市の過密化を許すために便宜的につくったルールのような気がして、どうも好きになれない。実はトップライトの面積は昔から3倍しても良いということになっていて(天窓って本当に明るいからね)、普通の壁にある窓がいくら前面に障害物がないからといって、トップライトと同じだけの明るさをつくりうるとは、どうしても信じられないからである。
最近の窓は透明度がまして、以前より3倍明るくなったなんてこともないわけですしね。
追記:今回つかった数値は住居系の地域のみに通用する値です。工業系、商業系は別の数式がありますので、念のため。
なじみの工務店さんから「バイトで確認申請の書類づくりを手伝ってくれない?」と声をかけられたので、申請図をつくりながら、建物の法規チェックをはじめた。すると工務店の担当者の方はどうやら「窓の採光有効係数」の導き方に根本的な誤解をしているらしいことがわかったので、説明がてら、旧法(平成12年以前のルール)と今のルールがどういう関係にあるかをわかりやすくするための絵を描いてみた。
以前のルールはとても簡単だった。有効を判断をしたい窓の場所で建物の断面図を書いて、軒先など障害物にぶつかるある決まった角度(4/10)の斜線を書く。その線が敷地境界線にぶつかったらそこで斜線を水平に折り返して、それより上の窓は採光上有効。下の部分は無効という考え方だったわけ(写真左図)。
それが平成12年の建築基準法改正で、「採光補正係数」という数値を導く新しい算定式(係数=D/H×6-1.4)が登場し、実際の窓の面積に係数をかけて有効面積をだすように変わった。これによって、窓は本来の大きさの0%~300%までの比率で窓の有効度を段階的に算定できるようになったということになる。新しい数式が今までの斜線とちがって直感的にわかりづらくなったため、多くの人が誤解してしまっているようなのだけれど、係数に以前の採光斜線の傾き(4/10)を代入すると、4/10×6-1.4=1となり、実は係数が1となる標準的な窓の考え方は、以前と変わっていない。でもこのあたりの経緯を知らず、いきなり数式を覚えた若い人にとっては、以前こんな斜線があったことさえ、きっともう知らない世界の話になってしまっているのだろう。
ところで、旧法に慣れ親しんでいた古い人間にとっては、この「窓の明るさが3倍まで認められる」という考え方自体が、都市の過密化を許すために便宜的につくったルールのような気がして、どうも好きになれない。実はトップライトの面積は昔から3倍しても良いということになっていて(天窓って本当に明るいからね)、普通の壁にある窓がいくら前面に障害物がないからといって、トップライトと同じだけの明るさをつくりうるとは、どうしても信じられないからである。
最近の窓は透明度がまして、以前より3倍明るくなったなんてこともないわけですしね。
追記:今回つかった数値は住居系の地域のみに通用する値です。工業系、商業系は別の数式がありますので、念のため。
by kenzo_stsk
| 2011-07-01 13:53
| ■建築