2012年 04月 13日
小田急線上部利用シンポジウム |
昨晩、世田谷区の主催する「小田急線上部利用シンポジウム」があった。
北沢タウンホールの12階・スカイラウンジで、区の主催する小田急線上部利用計画のシンポジウムがあった。基調講演は涌井史郎さん(東京都市大学教授)。その後、保坂区長みずからの司会進行で、4名のパネラーの話を順次聞いていくという形式のトークイベントであった。パネリストは地元を中心に、小林正美さん(明治大学教授)、柴田真紀さん(NPOまちこらぼ代表理事)、玉利久江さん(北沢2丁目協和会会長)、柏雅康さん(しもきた商店街振興組合理事長)というラインナップ。この問題に関して深く関わる町会・商店会なども顔を揃えたメンバーであり、そろそろこの問題にひとつの結論をだす時期が近づいていることを思わせた。
最初、問題提起として涌井史郎さんの基調講演は、地球環境を大きく破壊してしまいつつある現状認識から入り、成長には限界があるのだから、人は豊かさを追い求める社会から豊かさを深める社会へと目標設定を変更せざるをえないだろうという、グローバルな視点に立った話であった。そして、古来より自然の力を「いなす」知恵をもっていた日本の文化的特長を振り返って、今こそそんな日本の知恵を生かし、自然と融和する社会を再構築することが求められており、下北沢の問題はそんな社会へと変化していくターニングポイントとなる大切な機会であると締めくくっていた。いや、とても素晴らしい講演でありました。
続く、4名のパネリストによるトークセッションは、小林正美さんが「市民と専門家が一体となって考え続けてきた、下北沢の都市計画に関する流れ」を振り返り、柴田真紀さんが、世田谷線を軸として東急電鉄とも議論をくりかえしながら進めてきた「えんどう豆型まちづくり」のご紹介。その後、玉利さんと柏さんが、小田急上部計画に対する地元の要望をまとめて発表した。住民からは災害時の安全安心を重視した計画を強く求められ、商業者からはとにかく「工事中」という商業的ダメージをなるべく短く、将来の展望が描けるように、早急に事業をすすめて欲しいという要望だったように思う。
それを受けて、区長からは計画の質をあげるべくベストの回答を目指すのか?スピード第一でいくべきか?という2択の問題提起があったけれど、実はこのふたつは並行して進めることが可能だと僕は思う。前回「グリーンライン下北沢」が描いた、空間設計の基本ルールだけをしっかりと固めて、それぞれの場所はフレキシブルに、時間をかけて育てて行けば良いという変幻自在な計画の骨格は、たぶんその要望にきちんと答えてくれるものだと信じているからだ。涌井さんが渋谷の例をあげて仰っていたように、ひとつの都市が成熟していくのには、それなりの時間が必要であり、変化し続けていくことに柔軟な都市計画がここで提案されたことは、実はとても大きな意味があるのだ。
そう、豊かさを深める社会とは、都市が成熟することを促す社会でもあるはずだから。
北沢タウンホールの12階・スカイラウンジで、区の主催する小田急線上部利用計画のシンポジウムがあった。基調講演は涌井史郎さん(東京都市大学教授)。その後、保坂区長みずからの司会進行で、4名のパネラーの話を順次聞いていくという形式のトークイベントであった。パネリストは地元を中心に、小林正美さん(明治大学教授)、柴田真紀さん(NPOまちこらぼ代表理事)、玉利久江さん(北沢2丁目協和会会長)、柏雅康さん(しもきた商店街振興組合理事長)というラインナップ。この問題に関して深く関わる町会・商店会なども顔を揃えたメンバーであり、そろそろこの問題にひとつの結論をだす時期が近づいていることを思わせた。
最初、問題提起として涌井史郎さんの基調講演は、地球環境を大きく破壊してしまいつつある現状認識から入り、成長には限界があるのだから、人は豊かさを追い求める社会から豊かさを深める社会へと目標設定を変更せざるをえないだろうという、グローバルな視点に立った話であった。そして、古来より自然の力を「いなす」知恵をもっていた日本の文化的特長を振り返って、今こそそんな日本の知恵を生かし、自然と融和する社会を再構築することが求められており、下北沢の問題はそんな社会へと変化していくターニングポイントとなる大切な機会であると締めくくっていた。いや、とても素晴らしい講演でありました。
続く、4名のパネリストによるトークセッションは、小林正美さんが「市民と専門家が一体となって考え続けてきた、下北沢の都市計画に関する流れ」を振り返り、柴田真紀さんが、世田谷線を軸として東急電鉄とも議論をくりかえしながら進めてきた「えんどう豆型まちづくり」のご紹介。その後、玉利さんと柏さんが、小田急上部計画に対する地元の要望をまとめて発表した。住民からは災害時の安全安心を重視した計画を強く求められ、商業者からはとにかく「工事中」という商業的ダメージをなるべく短く、将来の展望が描けるように、早急に事業をすすめて欲しいという要望だったように思う。
それを受けて、区長からは計画の質をあげるべくベストの回答を目指すのか?スピード第一でいくべきか?という2択の問題提起があったけれど、実はこのふたつは並行して進めることが可能だと僕は思う。前回「グリーンライン下北沢」が描いた、空間設計の基本ルールだけをしっかりと固めて、それぞれの場所はフレキシブルに、時間をかけて育てて行けば良いという変幻自在な計画の骨格は、たぶんその要望にきちんと答えてくれるものだと信じているからだ。涌井さんが渋谷の例をあげて仰っていたように、ひとつの都市が成熟していくのには、それなりの時間が必要であり、変化し続けていくことに柔軟な都市計画がここで提案されたことは、実はとても大きな意味があるのだ。
そう、豊かさを深める社会とは、都市が成熟することを促す社会でもあるはずだから。
by kenzo_stsk
| 2012-04-13 14:49
| ・下北沢問題