建築士-金子賢三が下北沢で考える日々の徒然
by kenzo_stsk
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2017年 10月 13日
最近「エリアマネジメント」について勉強をはじめた近年、長い間なじみ深かった「まちづくり」という言葉がそれととても近い意味で「エリアマネジメント」と置きかえられるケースが増えてきた。地域の住民や商業者が連携しつつ、町を自治していくという意味では、このふたつはほとんど変わらないのだけれど、ニュアンスの違いとしてはエリアマネジメントの方がより、その活動財源の確保や運用について積極的といえるのかもしれない。 またこの言葉が近年注目されるきっかけとして、アメリカやイギリスなどの先進事例としてBID(Buisiness Improvement District:ビジネス改善地区)が注目を集めたということがある。そこで、海外の事例と日本の事例を比較検討し、それぞれの問題点などをまとめた本が上の写真(最新エリアマネジメント:2015年2月発行・学芸出版社)である。 まず、海外の事例と日本で大きく違うのは財源確保の方法である。アメリカやイギリスなどは行政主導で地域一体に等しく税をかけ、それを地域団体に分配しているのだ。一方日本では、行政が地域税のようなものをとってまちづくりに活かすという試みはまだほとんど行われていない。よって資金調達は民間活動によって収益をあげる方法や寄付に頼らざるをえなく、民間主導型となっている。この二つにとっての大きな違いはフリーライダーの有無であろう。行政主導で一律に税をとる方法はとても平等であるのに対して、民間主導型はどうしてもよく稼ぐ活動とそうでもない活動、また寄付する人としない人など、同じ地域に住む人の間に不平等を生じやすいのである。つまり地域を発展させるという意味において本来は平等にその効果(果実)を得ているのに、ただ乗り(フリーライド)している人が生じやすいのである。 では、日本国内では今どのような活動がおこなわれているのだろうか。事例を見渡してみるとその活動例は実に多彩だ。地域を良く知り、愛する気持ちを育てるためにセミナーや検定を行ってウォークガイドを育てる活動をしている団体や、ひたすら人を集め、そこから収益をあげるイベント型の展開をしている地域。また建築のデザイン制度を調整する中で、町の景観グレードを一味ちがうものにしようという試みや、本来は公共空間として設えられた路上などでオープンカフェや広告看板を設置して融資を集める活動などが注目されている。 また、その活動の目的もいろいろある。防犯や清掃などを通じて公益性を高める活動。レンタサイクルなどの交通手段を提供することで収益とともに町を回遊しやすくする活動。太陽光発電や風力発電を利用して、分散型エネルギーを確保し、大きな災害が起きた時の危険を分散しようという試み。また防災物資の備蓄などを充実させて拠点をつくろうというもの、エコミュージアムや打ち水の活動などを通して、地球環境についての考え方を育成しようという試みもある。 僕の住む下北沢の町も今、小田急線の地下化とともに大きく風景が変わろうとしてる。しっかりとしたエリアマネジメントを展開してよりよい町に育てていきたいと考えている。
by kenzo_stsk
| 2017-10-13 11:30
| ■社会
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