2006年 03月 24日
世田谷区の交通量データ(その1) |
昨日、世田谷区の申請内容が補助金投入の条件を満たしていないのではないかという疑いがあると書いた。これだけで話を終えてしまうとなにもわからないので、しばらくその詳細について書いてみようと思う。
上の二つの画像は世田谷区が東京都に提出しようとしている交通量データの変化予測図である。左が54号線がない時(現在)のもので、右が54号線が作られたとき(未来)の一日の交通量予測となっている。提出用のものは白黒の地に数値が書き込んであるだけのものだが、わかりやすくするために数値に色をつけてみた。ボックス内に色がベタに塗りこんであるものはその道路のキャパシティを示している。赤はオーバーフローしていることを示し、青はまだ余裕があるという意味。地が白いボックスに入っている数値は自動車交通量の実測値もしくは予測値。右の予測値に関しては、左の現況値に対して減少しているものは数値を青で、増加しているものは数値を赤で示した。
さて、まずここでよく見て欲しいのは、新規道路54号線(画像中央付近を東西に横切る道路)の北800mを平行に走る井の頭通り(現在4車線に拡幅中)と南1000m付近をやはり平行に走る梅が丘通りと淡島通りの交通量の変化だ。世田谷区は54号線をつくる理由として、茶沢通りと淡島・梅が丘通りがパンクしているからという理由を挙げているわけだが、ここからわかることは54号線をつくった後の方が、淡島・梅が丘の交通量は増加し、茶沢通りは数値に変化がないという事実だ。
また、北側の井の頭通りは54号線のあるなしに係らず、交通量はまだキャパシティの1/2程度までしか達しておらず、とてもすいていることがわかる。つまり54号をつくらずとも、まだキャパシティに余裕のある井の頭通りに車を誘導する方法さえ考えれば、まだ下北沢地区の道路状況はパンクしない。
また、ここで注意深い皆さんは、未来の道路計画図に54号線以外にもう一本新規道路が計画されていることに気づいたことと思う(画像右隅を南北に走る都道26号線のことである)。この道路はキャパシティをすでに大きく超えている環状7号線(画面左を南北に走っている道路)と平行に走る道路のため、建設直後、すぐにキャパの150%以上の交通量が見込まれている。
さて、世田谷区は54号線が完成する時期にはすでに都道26号線は完成している予定なので、交通量はこの計画道路も折り込んで良いのだと主張する。しかし、ここで問題が2点ある。ひとつは26号はまだ事業認可された道路ではないこと。ふたつ目は対費用効果を計算する際、交通量自体はここで示した通り入れ込んでいるのだが、分母である建設費用には26号の費用が算入されていないということだ。世田谷区は事業主体が違う道路なので、それぞれ分けて計算してよいと考えているようだが、「対費用効果」という数値の意味を学問的に考えるとき、それは投資する費用(建設費)に対して、どの程度の効果(交通量など)が見込めるかという数値であり、分子の効果だけは入れて、分母の費用は切り分けるというのは理論的におかしい。
本来ならば、ふたつの事業が同時進行する場合は、先行する事業が単独でも費用効果を満たすことを示めし、それが確実におこなわれることを約束した上で効果(交通量)を上乗せすることを認めるか、建設費の合計と双方の効果を一体としてあつかっても有効であることを証明した上で、どちらを先行させても良いという約束ごとをとりつけるかのどちらかであるべきだと思う。
国土交通省のみなさま、この考え方、間違っていますか?
上の二つの画像は世田谷区が東京都に提出しようとしている交通量データの変化予測図である。左が54号線がない時(現在)のもので、右が54号線が作られたとき(未来)の一日の交通量予測となっている。提出用のものは白黒の地に数値が書き込んであるだけのものだが、わかりやすくするために数値に色をつけてみた。ボックス内に色がベタに塗りこんであるものはその道路のキャパシティを示している。赤はオーバーフローしていることを示し、青はまだ余裕があるという意味。地が白いボックスに入っている数値は自動車交通量の実測値もしくは予測値。右の予測値に関しては、左の現況値に対して減少しているものは数値を青で、増加しているものは数値を赤で示した。
さて、まずここでよく見て欲しいのは、新規道路54号線(画像中央付近を東西に横切る道路)の北800mを平行に走る井の頭通り(現在4車線に拡幅中)と南1000m付近をやはり平行に走る梅が丘通りと淡島通りの交通量の変化だ。世田谷区は54号線をつくる理由として、茶沢通りと淡島・梅が丘通りがパンクしているからという理由を挙げているわけだが、ここからわかることは54号線をつくった後の方が、淡島・梅が丘の交通量は増加し、茶沢通りは数値に変化がないという事実だ。
また、北側の井の頭通りは54号線のあるなしに係らず、交通量はまだキャパシティの1/2程度までしか達しておらず、とてもすいていることがわかる。つまり54号をつくらずとも、まだキャパシティに余裕のある井の頭通りに車を誘導する方法さえ考えれば、まだ下北沢地区の道路状況はパンクしない。
また、ここで注意深い皆さんは、未来の道路計画図に54号線以外にもう一本新規道路が計画されていることに気づいたことと思う(画像右隅を南北に走る都道26号線のことである)。この道路はキャパシティをすでに大きく超えている環状7号線(画面左を南北に走っている道路)と平行に走る道路のため、建設直後、すぐにキャパの150%以上の交通量が見込まれている。
さて、世田谷区は54号線が完成する時期にはすでに都道26号線は完成している予定なので、交通量はこの計画道路も折り込んで良いのだと主張する。しかし、ここで問題が2点ある。ひとつは26号はまだ事業認可された道路ではないこと。ふたつ目は対費用効果を計算する際、交通量自体はここで示した通り入れ込んでいるのだが、分母である建設費用には26号の費用が算入されていないということだ。世田谷区は事業主体が違う道路なので、それぞれ分けて計算してよいと考えているようだが、「対費用効果」という数値の意味を学問的に考えるとき、それは投資する費用(建設費)に対して、どの程度の効果(交通量など)が見込めるかという数値であり、分子の効果だけは入れて、分母の費用は切り分けるというのは理論的におかしい。
本来ならば、ふたつの事業が同時進行する場合は、先行する事業が単独でも費用効果を満たすことを示めし、それが確実におこなわれることを約束した上で効果(交通量)を上乗せすることを認めるか、建設費の合計と双方の効果を一体としてあつかっても有効であることを証明した上で、どちらを先行させても良いという約束ごとをとりつけるかのどちらかであるべきだと思う。
国土交通省のみなさま、この考え方、間違っていますか?
by kenzo_stsk
| 2006-03-24 17:42
| ・下北沢問題