今西ゼミレポート－米沢市中心市街地について

先日予告したとおり、今西ゼミのレポートを読みはじめた。

今日読んだのは、２００８年の第一回フィールドワークとして６月３日に行なわれた米沢市中心市街地の現状と、都市再生を目指して行なわれている市民活動の実体についてのレポート。

地方都市の中心市街地が、郊外居住や大型店舗の進出などを理由に衰退しているという話は良く聞く。このフィールドワークもそんな典型例に対して、まちづくり活動は機能しているのかということに着目しておこなわれたようである。また、米沢市には「ドラマチック戎市」という８万人超の集客に成功した粡町通り商店街があり、その成功例の実態調査という側面もあったようだ。

学生さんたちによって、午前中は米沢市役所の商工課、午後は商工会議所と粡町通り商店街への聞き取り調査が行なわれた。その報告として修士１年と４年生、３年生あわせて１１名のレポートが掲載されていた。着目点は学生さんによってそれぞれだったが、大方商店街が行なっているイベントは、基本的に商業振興が目的であって、総合的なまちづくりの観点から行なわれているものではないため、この活動が今後継続的にまちを活性化できるのかにはやや疑問があるという意見が多く、行政サイドがしっかりとした目標を掲げて施策を行なえていないのではないかという不安が記されていたように感じた。

そもそも、大型店舗の進出が中心市街地の衰退の原因であるのならば、それは週末に車で買い物を済ますというライフスタイルの変化こそが問題の本質なわけであり、廃れる一方の商店街にいくらお金を投入してみても、本質的な解決にはいたらないのではないかという気がしてならなかった。それは人がどこに住んで（これにはどこで働くかということも含まれてきますね）、どこで余暇を楽しむかという、「職住」の問題であり、その際どのように移動するかという「交通」の問題であるような気がするのである。僕はレポートを書いている学生さんたちの文書を読んで、そんなことを考えました。

それにしても、ドラマチック戎市ってイベントはなかなかすごいことになっているというのは、レポートを読んでいても良く伝わってきました。イベントにこどもたちが店を出し始め、それに伴って親たちもかかわりはじめているというのが、なかなか良い傾向ですよね。はじめたきっかけは商業振興のみだったのかもしれませんが、実体としてはなかなかすばらしい「まちづくり」になっているのではないかという学生さんたちの意見も、そのとおりだと思いました。