2011年 06月 16日
容積率 |
今日は容積率の話をします。
容積率とは、その土地に建設できる建物の総床面積(延床面積)の限度÷敷地面積の割合を都市計画によって定めたパーセンテージのことをいいます。つまり下北沢の駅周辺の商業地域では、容積率は500%と定められているので、今日はその数値がどういうものであるかについて考えていきましょう。
下北沢駅周辺の地区計画では、敷地面積が500㎡未満の場合、建物の高さは22m以下と決められています。この数値は建物の各階高さが標準値である3m程度の時、3m×7階+1m(余裕)=22mという計算式が成り立つことから、大方7階建ての建物が建てられる高さの制限と見ることができます。
さて前回、80%の建ぺい率は敷地一杯に建物をたてることとほとんど同義であるという話をしました。そこで、各階80%×6~7階=480%~560%という計算式から、この500%というものが、敷地一杯の建物を計画したときに、一部7階建て程度までは建てられる数値だということがわかります。そして下北沢の都市計画の場合、4階以上の建物の壁面には道路境界から2mというセットバックが義務付けられているため、80%までの床面積を使い切ることはできず、結果7層すべてを充分に使い切るくらいの計画になってしまうわけです。
もちろんこれは、リアルな計画では建物の容積を地下階に振り分けていくこともありますし、実際の容積率は前面道路の幅から算出されたパーセンテージの方で制限されることが多く、こんな単純な数値化は実質的ではないということは充分承知の上での計算です。しかし、実際建っている建物の様子をみる限り、ほとんどの新築建物が、地上7階建てで計画されていることから、今回の地区計画のルールに準じて計画を進めると、ほとんどの建物が建築制限一杯の中で7階建てになるのだということがわかります。
そんなルールによって出来上がる街並みを空から鳥の目でみるとこんな感じになります。
7階という高さが高すぎるかどうか?という議論はさておき、私がここで問題に思うのは、「自動的に行政が決めた容積一杯の建物が建ってしまう」という今のルールには、なんの魅力も感じられないということです。たとえば、一面しか道路に面していない一般の敷地の場合、隣も同じ建築のルールで建物を建てることを自明のこととして受け入れざるをえないので、道路を除く、他3方からの採光は初めから期待できないことになります。そして建築士はそんな一面採光の細長い容積を一杯に満たした箱をつくること以外には、なにも期待されていない存在になってしまうわけです。
もし、建物の建築制限が今のように「かっちりした鳥かご」の中に制限するようなルールではなくて、「決められた量の粘土」を与えられて、それをある高さ制限の中で自由に計画できるようなルールであったら、街並みはどう変わってくるだろうか?ということを夢想してみました。たとえば、街角の小さな広場や、2、3階の屋根の上につくられたオープンデッキのような、町の環境をよくする場所をつくる場合に限り、その上に本来つくれるはずだった容積を、建物の他の部分を高くすることを許すことで置き換えることができるようなルールに変えたらどうなるだろうか?というようなことを考えてみたわけです。
つまり、僕が夢にみた街並みはこんな感じになります。
みなさんはこんな絵をみて、どう思われますか?
追記:今回の地区計画の改正案はまだ、僕個人の夢の段階であり、実例があっての話ではありません。ですからしっかりした制度として考えていくなかで、いろいろな問題点が指摘されるということも、たぶんあるでしょう。ただ、最初は夢を語ることがやはり大切なのではないだろうか?と考え、まずは絵に描いてみたということだとご理解ください。
容積率とは、その土地に建設できる建物の総床面積(延床面積)の限度÷敷地面積の割合を都市計画によって定めたパーセンテージのことをいいます。つまり下北沢の駅周辺の商業地域では、容積率は500%と定められているので、今日はその数値がどういうものであるかについて考えていきましょう。
下北沢駅周辺の地区計画では、敷地面積が500㎡未満の場合、建物の高さは22m以下と決められています。この数値は建物の各階高さが標準値である3m程度の時、3m×7階+1m(余裕)=22mという計算式が成り立つことから、大方7階建ての建物が建てられる高さの制限と見ることができます。
さて前回、80%の建ぺい率は敷地一杯に建物をたてることとほとんど同義であるという話をしました。そこで、各階80%×6~7階=480%~560%という計算式から、この500%というものが、敷地一杯の建物を計画したときに、一部7階建て程度までは建てられる数値だということがわかります。そして下北沢の都市計画の場合、4階以上の建物の壁面には道路境界から2mというセットバックが義務付けられているため、80%までの床面積を使い切ることはできず、結果7層すべてを充分に使い切るくらいの計画になってしまうわけです。
もちろんこれは、リアルな計画では建物の容積を地下階に振り分けていくこともありますし、実際の容積率は前面道路の幅から算出されたパーセンテージの方で制限されることが多く、こんな単純な数値化は実質的ではないということは充分承知の上での計算です。しかし、実際建っている建物の様子をみる限り、ほとんどの新築建物が、地上7階建てで計画されていることから、今回の地区計画のルールに準じて計画を進めると、ほとんどの建物が建築制限一杯の中で7階建てになるのだということがわかります。
そんなルールによって出来上がる街並みを空から鳥の目でみるとこんな感じになります。
7階という高さが高すぎるかどうか?という議論はさておき、私がここで問題に思うのは、「自動的に行政が決めた容積一杯の建物が建ってしまう」という今のルールには、なんの魅力も感じられないということです。たとえば、一面しか道路に面していない一般の敷地の場合、隣も同じ建築のルールで建物を建てることを自明のこととして受け入れざるをえないので、道路を除く、他3方からの採光は初めから期待できないことになります。そして建築士はそんな一面採光の細長い容積を一杯に満たした箱をつくること以外には、なにも期待されていない存在になってしまうわけです。
もし、建物の建築制限が今のように「かっちりした鳥かご」の中に制限するようなルールではなくて、「決められた量の粘土」を与えられて、それをある高さ制限の中で自由に計画できるようなルールであったら、街並みはどう変わってくるだろうか?ということを夢想してみました。たとえば、街角の小さな広場や、2、3階の屋根の上につくられたオープンデッキのような、町の環境をよくする場所をつくる場合に限り、その上に本来つくれるはずだった容積を、建物の他の部分を高くすることを許すことで置き換えることができるようなルールに変えたらどうなるだろうか?というようなことを考えてみたわけです。
つまり、僕が夢にみた街並みはこんな感じになります。
みなさんはこんな絵をみて、どう思われますか?
追記:今回の地区計画の改正案はまだ、僕個人の夢の段階であり、実例があっての話ではありません。ですからしっかりした制度として考えていくなかで、いろいろな問題点が指摘されるということも、たぶんあるでしょう。ただ、最初は夢を語ることがやはり大切なのではないだろうか?と考え、まずは絵に描いてみたということだとご理解ください。
by kenzo_stsk
| 2011-06-16 12:21
| ・地区計画