2019年 03月 25日
祝辞 |
母校の卒業式でPTA会長としての祝辞を述べた
記念に原稿をアップしておきます。(全文)
【平成30年度卒業式祝辞原稿】
卒業生のみなさま、そして保護者のみなさま。本日はご卒業おめでとうございます。 また、ご来賓のみなさま、地域のみなさま、ご多忙のところお祝いに駆けつけてくださりありがとうございます。地元のみなさまに温かく見守られながら卒業のお祝いができますことをとても幸せに感じております。
卒業生のみなさん、本当に今日はおめでとう!小学校での6年間の生活を終え、今は次のステップにむけてわくわくした気持ちと、仲の良かった友達や先生たちとの別れを寂しく思う気持ちとが半分半分といった感じなのではないでしょうか。
さて今日は、以前本で読んだことのあるちょっと面白い学校の話をしてみたいと思います。それは、アメリカのマサチューセッツ州にあるサドベリー・バレーという名前の学校で、この学校にはみなさんが学校だったら当然あると思われるだろういくつかのものがありません。まず学年やクラスがありません。まあそれだけだったら、田舎の小さな学校なのかな?と思う方もいるかと思うのだけれど、驚くべきことにこの学校には決まった授業時間がないのです。なので、こどもたちは学校にやってくるとそれぞれにやりたいことをやりはじめます。ある子供は一日中図書室で本を読んでいたり、またある子供は一日中池のほとりで魚釣りをしているというそんな感じです。
保護者会では毎年子供たちの将来を心配する親たちが先生たちを囲みます。うちの息子は毎日毎日池のほとりで魚釣りばかりしているようなのですが、このままで本当に大丈夫なのでしょうか?すると先生は言います。でもあなたの息子さんはこの池の魚については誰よりも詳しくお話しができますよ。心配しないでも大丈夫!
さて、そんな調子で日々が過ぎていくわけですが、このあたりまで聞いて「授業をしないのにそれを学校って呼んでいいの?」と思われた方もいるかもしれません。実は私もそう思いました。ですが、この学校では全く授業が行われないというわけではないのです。ただこの学校で授業をしてもらうためにはある特殊なルールがあるのです。たとえば、そろそろ算数を勉強してみたいなぁと思ったこどもは先生のところにいって「算術の授業を開いてください」とお願いにいきます。すると先生は「では同じレッスンを受けたいこどもを集めてね。月曜日と木曜日の週2回、10時から30分の授業ということにしますか。条件は約束したこどもは必ず遅刻せずに授業に来ること!」そんな感じで算術の授業が始まります。 最初に言ったとおり、この学校には学年やクラスがありませんから、ひとつの授業に集まってくるこどもの年齢はまちまちです。そして、普通だったら6年かけて教わる四則計算を週1時間で24週。つまり24時間でマスターしてしまうということでした。 ある学校の先生がこどもたちのあまりの学習能力の高さに驚いて、なぜそんなに早くマスターすることができるのでしょうか?という質問をしました。すると先生が言うには、「この学校の授業ではやる気のない子供はいないですからね。全然興味のないこどもをたくさん集めて、同じレベルにまで理解させようとしているから時間がかかるのであって、やる気満々のこどもばかりならば、このくらいのスピードでできるのは当然ではないでしょうか。」とおっしゃったそうです。
卒業するまでに一度もやる気にならなかったら、読み書きができずに卒業の年になってしまう子供もいるんじゃないかなぁ?と心配に思った方もいるかもしれませんね。まぁ保護者会に集まる親御さんたちは毎年そんなことを心配しているんでしょうが。でも不思議なことにそんなことはないそうです。子供たち同士は新しくできるようになった知識を他の子供に話し、他の子供も知りたい、やってみたいという連鎖が起こるのでしょう。そしてここの学校を卒業した生徒たちは、社会にでてからのコミュニケーション能力がとても高いと評判なのだそうです。いつも年齢で区別をせずに友達をつくり、一緒に学んでいくというルールで育った子供達だから、それも当然のことかもしれませんね。
さて、今日のお話で僕が言いたかったことは3つです。やる気満々でやる方が断然能率が良いということ。つまり自分のやる気を見逃すなともいえるかもしれません。ふたつ目は人と協力して学習することはとても大切だということ。人は自分のためだけに何かをしようとするとついずるいことを考えてしまったり、利己的になったりもするものですが、力をあわせて何かを成し遂げるようなときには、そういうことはたぶん起こらないのではと思います。そして3つ目は何のために今自分は学習するのかを見失わないようにしようということです。小学校の授業では読み書き計算など、学習の基礎が中心でしたが、今後は段々と勉強の内容も高度にまた専門的になっていきますし、うっかりすると何のための学習なのかを見失ってしまうことって多いものなのです。なので、この勉強は何のためにやっているのかを常に意識すること。実はそういう小さな工夫が最初のやる気を失わずに学習をするための鍵なのではないかと私は思っています。
以上、今後前向きに頑張るみなさんへエールを送り、お祝いの言葉とさせていただきます。

by kenzo_stsk
| 2019-03-25 14:37
| ■生活

