2023年 02月 27日
深植え |
今日は世田谷代田の樹勢回復作業をした。
このところ園藝部では、深植えのために元気をなくしてしまっている樹木の樹勢回復のための作業をしている。小田急の上部利用に関する植栽に関してはその植栽をする以前から園藝部で管理していく構想を育ててきたわけなので、植えた直後の樹木に深植えの問題があるなんて書いたら、何してるんだよと言われそうなことではあるけれど、樹木の深植えの問題は造園の世界に根深く存在している。そんな困ったことが起こる理由は主にふたつである。
ひとつ目は、「枯れ保証」の問題。多くの大規模造園工事の契約では、樹木が一年以内に枯れた場合の植替え保証をつけて契約をされることが多いのだが、完成後の一年間、植えた樹木に適切な水遣りがされるのかの保証はない。なので、夏季の日照りにも契約期間は乗り切れるように深植えをしてしまうのが慣例になってしまっているという。
ふたつ目は竣工時の体裁を整えるために、大きな樹木を支えなしに植えようとする問題。上の写真にあるように地面の中では根をバンドで縛りつけてあるのだけれど、大きな樹木にとってはまだ根が張っていない状態で風をうけることになるので、多少の風でも倒れないように深植えをしたくなってしまうわけだ。まだ未成熟の若い木を植えて2、3年かけて大きく育てる計画にすれば、細い木はさほどの風も受けないし、しっかり根を張る時間もあるので、樹木にとってはより良いわけだが、施設の完成とともにマスコミなどに発表するときの見てくれを優先させてしまうということなのだろう。
今日はそんな深植えの弊害がどれほど樹木たちの生育に負担をかけているのかを、対策(土を退かして、水や空気が地中に行き渡るように竪穴を作って、上に枯葉や藁でグランドカバーをする工事)の現状を世田谷区や小田急電鉄にも見てもらった。今後駅前広場にも沢山の樹木が植えられる計画があるので、同じ弊害が繰り返されないためだ。この問題は単に下北沢だけの問題ではないので、造園界全体で問題を共有できると良いと思っている。
by kenzo_stsk
| 2023-02-27 15:52
| ■園藝部





