2024年 04月 20日
大災害の備え |
三浦ゼミシリーズ、第3回は富樫さんの災害対策についてのレポートです。
大災害の時に、東京のような来街者や、見ず知らずのたくさんの人たちのいる街では、どういう想定をしておくべきなのかはとても重要なことです。事故が発生した時に「想定外の事態でした」という言い訳を良く聞くけれど、これだけ地震が来るっていわれている国で地域防災が想定外って言ってしまったら、むしろそれは論外というべきだと思います。もちろん本来はその担い手になってほしい地域住民自体が被災者になっているわけだから、そもそもが難しい話なのだということはわかるのだけれど、その町をよく知らない人がどういう行動をとるだろうかと想像して対策を練っておくことは大変重要なことでしょう。
そういった意味で、この論文はとても重要なことを指摘しているのだと思います。折角、まちづくりでの関係性が醸成できつつある下北沢なのだから、ここは先例をつくる必要があるのだろうと思います。
では、以下に本文を添付します。
密集商業地域における帰宅困難者対策の現状~世田谷区下北沢を例に~
2281026富樫悠也
<要約版>
【問い】
東京都の帰宅困難者対策の方針として、発災後72時間職場や学校に待機することや、大規模商業施設での一時滞在を求めるものがある。ただ休日を中心に買い物客が多く大規模商業施設もないような地域では対策が取りにくいのではないかと考え、こうした地域を密集商業地帯として下北沢をモデルに考察した。
【調査方法】
首都直下地震などによる帰宅困難者のシミュレーションや、帰宅困難者が地域の避難にどう影響を与えるかといった先行研究、東京都の現在の被害想定と東日本大震災時の帰宅困難者の行動をまとめた報告書から多角的に考察を深めたのち、下北沢地域の特徴も鑑みて調査を行った。
【調査結果】
先行研究から休日14時に発災した場合各避難施設が最も混雑することがわかった。また施設の混雑度情報を提供することで施設の混雑度上昇の抑制につながること、帰宅困難者が一斉に帰宅した場合、地域住民の避難行動を阻害する可能性も判明した。帰宅困難者が避難する施設は一時滞在施設であり、住民用の避難所には案内しないことになっているが、被害想定では混同して避難が行われることで混乱をきたすことが指摘されている。また、過去の災害では駅や駅周辺に人が多く集まることも指摘されている。いかに一時滞在施設に誘導するかが重要であることが分かった。
下北沢は町の特徴として密集した街路や来街者の駅利用が多いこと、一時滞在施設への誘導体制に通信網寸断のリスクを考慮できていないなどの特徴があげられる。上にあげた調査結果も踏まえ、駅前広場を帰宅困難者誘導のハブとすることで円滑に一時滞在施設へ誘導するモデルを提案した。
(図1)ただこのモデルは群衆なだれなどの二次災害を考慮できておらず、他地域への応用なども十分に効かないものと考えられることに留意が必要である。
by kenzo_stsk
| 2024-04-20 09:30
| ・三浦ゼミレポート


