武者ゼミレポート(その６）

その６、「メディアでは語られない下北沢の姿」という論文について。

この論文は、メディアでは来外者目線で「遊びに来る街」として紹介される機会の多い下北沢に根付く３つの地域コミュニティを紹介しながら、下北沢の語られない面に目を向け、実はこういうコミュニティこそが、影で下北沢を支えているのではないかという問題提起をしている。論者が取り上げた地域コミュニティは、下北沢の南口広場に設置された伝言板や、フリーペーパーの「シモキタノート」を企画運営しているＮＰＯ法人４connectionと天狗まつりや阿波踊りなどのお祭り、そして南口商店街振興組合がおこなっている「落書き消し隊」の３つであった。

さて、この論文で紹介されたコミュニティについて、僕はシモキタノートというフリーペーパーだけは、まだ目にしたことがなかったけれど、そのほかの物に関しては、参加したことがある、または良く目にするおなじみの活動であった。ただ、これらが論者のいうようにメディアに語られない活動なのかどうかは微妙で、落書き消し隊などはＮＨＫの「ご近所の底力」というＴＶ番組で散々取り上げられた活動であるわけだし、お祭りなどもある程度メディアに登場する活動と言えるような気がする。ただ、論文を読んでみると、これらがメディアに取り上げられないことを問題視しているというよりは、単に地域貢献を目的としたあらゆる人を受け入れるコミュニティは素晴らしいということを言っているに過ぎないという気もするので、それに関しては全く異論はない。

ただ、（＝マス：以下省略）メディアと地域活動という切り口で問題をみる場合、その活動がメディアにのることに対してどのようなスタンスをとっているかという問題は割合興味深いことである。いや、実はメディアにのってしまうことで変に風当たりが強くなったり、志が捻じ曲げられたりすることは良くあることであるように思う。地域住民というものは、本来とても嫉妬深いものであり、なにかがメディアにとりあげられることを単純にうらやましがる傾向が強いし、メディアが間違った伝え方をしてしまったために、大きな迷惑をこうむるということもよくあるのだ。だから、こういう地域活動というものは、本来の「参加者が楽しむ」という目的を主として、活動を地道に続けることこそが大切なのだろうと思う。

注：マスメディアが何を伝えるものかは、こちら側ではコントロールの外にあるので、では自分たちで発信できる「ミニコミ」ではなにができるだろう？ということ＝路字　と考えてもらえるとわかりやすいかと思います。